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自身の二倍はある長身の男にまるで荷物のように脇に抱えられたカナコ。男は鱗を繋ぎ合わせた様な硬いけど柔らかく、滑らかで冷たい鎧を着ていた。カナコを抱える腕にはガントレットを嵌めているがコレも鎧と同じく鱗状で硬くて柔らかい不思議な物であった。見上げた男の顔は無精髭にざく切りの白髪、年の頃は50近いのではないかと思わせる様に草臥れた肌をしていた。薄い水色の瞳は半眼の所為でほぼ見えないので、はじめ瞳が無いかと驚いてしまった。釣り上がった口元とスッと通った鼻が、この男は悪いヒトなんだとカナコに告げている気がした。
「血が出る方が良いか、出ない方が良いかどちらだ?」
「盛大にお願いします。世界が染まるくらいの勢いで」
男の物言いが余りにも軽いものだったのでカナコは考える事無く口を滑らしてしまう。そして後悔。無残な斬死体となった自分の姿を思い浮かべる。故郷の謝肉祭で解体される豚の胴とカナコの顔が合わさった姿は思わず吐き気を催す。
「ぎゃふぇべうしっ!」
カナコがえろえろと口の端から七色ドリンクを流し出している時、男の向かいで五つの噴水が赤い水を盛大に噴き上げていた。世界を染め上げるには足りないがテツロウとカナコを染めるには十分な鮮血がタチガレの小道に降り注いだ昼下がり。
赤い絨毯がタチガレの街一の娼館『ジョウリョクジュ』まで続いている。カナコを抱えたテツロウはカナコの逃走路を逆に辿りながらその場にいた全てのヒトの首を刎ねた結果だった。
カナコを助けなかった者は見える限り首を刎ねられた。明らかに範囲外だろうという距離に居たり、逃げ出したヒトも残らず刎ねられた。
娼館に着くまで百は殺しただろうか、カナコは身体を洗いながら思い起こしてみる。あのヒトは世界を染め上げる事が出来る。勇者とはあのヒトの様な力を持ったヒトの事だろう。羨ましい、と思った。
サッパリしたカナコを薄絹一枚の娼婦が手を引いて外まで開けた広間に連れてきた。
「え、ちょ、ワタシ真っ裸なんですが!」
「可愛らし」
「痩せ過ぎだな」
正気に返ったカナコをテツロウと薄絹の娼婦が観賞する。慌てて胸を隠ししゃがみ込むカナコ。しかしテツロウは許さない、立たせろと言うとカナコの後ろから二人の娼婦がやってきて腕を取り引き立たせる。
「いやぁぁ、見ないでぇ!」
手を戻そうと全力で抵抗するが近付いたテツロウがカナコの右足を払い股まで開かせてしまう。
「おい、橙。お前生理は来てるのか」
テツロウはカナコのま○こを中指の腹で擦りながら平坦な胸を口一杯に含む。
「ひ、せセイリってなに?」
「月一でま○こから血が出るかって聞いてるんだよ」
「出ない、血は出ないよ」
テツロウの指の往復に合わせて腰を動かすカナコ。尿が出そうになるが堪えて腰を振る。未知の感覚が身体を震わせる。
「半熟か、栄養が足りてねえんだ」
カナコ十二歳。Lv.3勇者(半熟)。
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