1
ウチの学校の図書室は人気が無い。平常時はモチロン、試験前でも入室者がゼロなんて当たり前だ。図書の貸出は記録が正しければ四年前の7月14日以降ない。しかも貸出図書は返却されていない。
しかし世の中は面倒なもので、利用者が居ない図書室でも図書委員会なるモノがあるせいで、不幸な図書委員が昼の放課中と最終下校時刻までの放課後、貸出返却の受付として1日2名ほど拘束される。そして僕は今日の生贄だったりする。
僕は本をあまり読まない。読むとすれば授業中の教科書か、友人から借りるエロ本ぐらいだ。漫画すら読むことが稀な僕が図書委員であるという事実は僕と図書室の双方にとって不幸な事である。僕は青春の貴重な時間を無為に過ごし、図書室は手垢も一切無い蔵書を僕の溜息で汚される。
この薄暗い部屋の受付カウンターの内側で過ごす僕は禅僧の如く身動きの無いまま時間が過ぎるのを待っている。
そんな僕にも1つ気になる事がある。もう1人の当番委員、金沢先輩である。僕が金沢先輩について知っている事は3年である事、図書委員長である事、僕の好みの顔立ちをしている事、それだけだ。
金沢先輩の肩より少し長い程度の黒髪ストレート、緩やかなカーブの眉、大きく潤んだ瞳、縁無しの眼鏡、小さいけどスッと通った鼻、薄い唇、どれもが好みでとても良い、もっとも表情があればだが。
その無表情の金沢先輩は僕の左隣でただ座っている。僕も人のことは言えないけれど先輩は何もしていない。身動き1つしない。もしかしたら瞬きもしてないかも。いや、してるな、してる。
2人して何をするわけでもなく、ただ並んで座り続ける。このもう、こう、なんか言い様の無い緊張感に僕は無意味に焦りを感じている。昼は弁当のお陰で気付かず想像も出来なかったが、こいつは強敵だ。僕はいま追い詰められている。
2
「青柳君、なんで私の手のひら押してるの」
無意識に僕は金沢先輩の右手を掴み、指で先輩の掌を押していた。意味が解からない。しかし、極限状態にいた僕には何かしら有効な行動だったのだろう。
「よく判らないけど、放してくれない」
ふにふにと柔らかい先輩の掌。癒しの効果は有りそうだ。ふにふに気持ち良い。
「ちょ、ちょっと青柳君。聞いてるの?」
先輩の指にはタコが無い。残暑が懐かしい今は10月。馬肥えて受験の追込みが本格化する秋にも関わらず、受験生である金沢先輩にタコが無いというのはアレか、今になって足掻く様な不便な頭はしてなくてよ、とかいう既に推薦が通っているとか、お勉強は日々の積み重ね、ワタシ試験勉強とかした事無いの、とか言っちゃう学力エリート様だからか。
「放してッ、ひッ。放せ青柳!」
凄いぜ、金沢先輩。顔が良いだけじゃなくて頭まで良いとは恐れ入る。その縁無し眼鏡は伊達じゃないと。しかし、表情がもっと、こう何ていうか柔らかくなるとよりイケる、っていうかモウッ!この時間が素敵に青春な1ページになるのに大変惜しい。
「聞いてッ、青柳君。それ以上はダメ!私の手を放して」
しかし素直クールというのは一体どうなのだろうか。クールという部分は置いといて、素直の部分は正直理解が出来ない。明け透けというか猜疑心が無いというのか、どれもしっくり来ないが実際、邪気無く「素直」的行動を起せるものだろうか。アレは一時期流行った褒め殺しにしか見えない。勿論、褒め殺しはイヤガラセである。もし真に子供の徳である素直が思春期以降の人格で発現するのならば、脳が物理的にどうにかなっている気がする。
「やッ、ダメっ、放して、もう放してよ。ダメだからぁ、青柳ぃ、ダメなの、駄目なのぉ」
クール。アメリカスラングのCoolというのはカッコイイの代名詞的な言葉で一昔前のHotと意味合いに違いは無いのだ。いま僕たちがナウだのヤングだの言わないのと一緒でクールは流行り言葉に過ぎない。本当のクール(冷やか)は実際やると人間関係に傷が付く。だから金沢先輩はあと一歩なのだ。クーデレとかそんなモンは無い。もし金沢先輩がいわゆる1つの素直クールだったら、2人きりの図書室でさえ何も起きない僕には脈が無い事になってしまうではないか。
「ひふっ、あっあ、ひっあ、あ、またっ、あっああ、ああああぁぁ」
ぱふッ、と倒れ込んできた金沢先輩がそのままズリ落ち、最終的に僕の股間に頭が沈み込む形で納まった。
「えっ、えぇぇぇぇ!ど、どうしました金沢先輩!」
先輩の暑い息がズボンとパンツを突き抜けチ○コにまとわり付く。一体どんな奇跡が僕に起こったのだろうか。それともこれが素直クール。言葉をスッ飛ばして行動が、欲望が素直。クールはどこに行ったかは知らない。先輩の手は柔らかい。
3
股間がとってもホットな僕はこの状況をこれからどの様に展開すれば良いか知識も経験も無い。とりあえず、椅子からずり落ちそうな金沢先輩のお尻を元に戻そうと試みる。
うぅ、ズボン越しとはいえ僕のチ○コが先輩の顔に。顔ズリとか凄い高レベルプレイだよ、ギン立ち、汁塗れのチ○コを女の子の顔に擦り付けるとか。素直にフェラ行けよ、とか思うのは浅はか。フェラは慣れると女の子も気持ち良くなれる(らしい)のだ、口内が性感帯なんてのは結構いるし。
キス好きの娘とかは適正が高い(らしい)。でも顔ズリ、ありえないね。顔は化粧をしてまで綺麗に見せたい場所なのだ。相当の色情狂かベタ惚れ恋人でもなきゃ、チ○コで顔こすられて平気なわけが無い。そんな嫌がる行為にこそ、真のエロがある。だから僕は先輩の顔を汚したい。
話が逸れた。早く金沢先輩の小さく可愛いお尻を救出しなければ、このままでは床に叩きつけられてしまう。そうすると今のこの青春状況が日常の救急活動に移行してしまう。
やっとの事で先輩の腰の下に手が届く。これを持ち上げるのは結構キツイ、片手だからキツイ。腰を浮かしてる間に先輩の椅子を足で僕の方にずらすして、成功。お尻着席。
しかし、動かした所為かスカートが少々、捲れてしまったので直してあげる。ついでに御褒美も頂く。先輩ありがとうございます、お尻もとっても柔らかいです。
この柔らかさはマイクロビーズのクッションに並ぶ驚異のふもふも感である。しかし、いま僕と金沢先輩のお尻の間には、野暮ったいゴワついた学校指定のスカートとチラッと見えた青白ストライプのパンツが存在する。つまり、これらが一切無い状態、お尻直触りではどれほどのモフモフ感を得る事が出来るのか。確かめねば成るまい。
しかしスカートを捲るというのはかなりのドキドキ感がある。それは無邪気な少年時代とは異なり、女の子の神秘にトキメク青春時代にいる僕とソレとは目的の度合いが違うからだ。イザ、桃源郷へ。
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